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2014年8月

2014年8月27日 (水)

玉ちゃんの独り言 第34回「69年目の夏と報道」

 今年も戦争を思い出させる8月がやって来た。ところが、8月7日の最大手新聞の朝刊を見て、驚いた。なんと前日の広島原爆忌の式典の記事が1行も載っていないのだ。そんな大ニュース目白押しの日でもなかったのに、38ページの紙面どこにも見当たらない。関連記事である6日夜の広島の精霊流しは写真付きなのに。夕刊で扱ったから不要と云うのだろうか? 夕刊を取っていない人も大勢いるため、大きな出来事は翌日の朝刊にも再度載せるのが、一般紙の常識ではなかったのだろうか。それともそれ程のニュースではないと編集部では思っているのか? 毎年一緒だから首相の式辞のように去年の使い回しでもOKだと? 今年はケネディ女史が駐日米大使として初出席したことで、例年以上にニュースバリューはあるはずなのに。もちろん他紙は普通に複数ページを割いて掲載していた。被爆者感情に関心がないのは、続く長崎の日の記事でも伝わってきた。首相と長崎市長の式辞は、ほぼ全文掲載しているのに、被爆者代表のそれには、内容さえも触れてはいない。理由は明らかであろう。被爆者代表は、集団的自衛権と原発再稼働に強く反対する挨拶をしたからに他ならないと推察される。自民党以上にその二つを推進してきたこの新聞社である、社の方針に反するものは、報道したくないのであろう。でも日本一の大新聞ともあろうものが、そんなことでいいのだろうか? 
 かつてチャーチル元英首相は、民主主義とは、自分と反対の立場の人が意見を述べる権利を守ることである由の言葉を残している。今回長崎市長が式辞の中で、集団的自衛権について触れたことを、非難した自民党議員がいた。別に市長が集団的自衛権に反対の意を表明したわけでもないのに、市長が国政にもの申すのは間違っていると。多くの自治体の首長や議会が、集団的自衛権行使に反対を表明しているが、それも越権行為だとでも言うのだろうか。言うまでもなく小生は集団的自衛権行使に反対ではあるが、賛成派の人の意見に耳を背けるようなことをしたことは一度もない。ましてや政治信条を述べるのが仕事の政治家に向かって、意見を言うななどというのは、自由と民主主義の根本を否定するようなものである。かの議員の属している政党は、何という名前の党だったか、自分で思い返して頂きたいものである。自由民主主義の反対は、共産主義ではない。全体主義なのだ。確かに共産主義も全体主義のひとつの形と言えよう。だが、すでに共産主義の破綻は見えてしまった(私的に極論すれば、共産主義とは、平等より不平等を好む人間の性を計算に入れなかったマルクスの机上の空論に過ぎなかったと言えるのではないか)。民主主義を標榜しようが、共産主義であろうが、反対意見が言えない国家は、全体主義の独裁国家に向かうのである。大概のことにおいて、アメリカは日本より自由国家だと云えようが、共産党はもちろん社会党さえ(議席保持政党として)存在しないのは、明らかに政治的に偏った国と言わざるを得ない。逆に、小生は支持しているわけではないが、日本共産党が議席を保持し頑張っていることは、日本のため良いことだと断言できる。
 かつて日本には、自由も民主主義も政党政治も、真実を報道することさえも存在しえない時代があった。総理や靖国神社関係者が賛美している時代のことである。約70年前、国民は真実を何も知らされないまま、勝つ見込みのない戦争に突き進まされてしまっていた。今も存在する新聞社マスコミが戦意高揚のための報道で国民を欺いた罪は、一億玉砕を主張した軍幹部と同じくらい大きい。小生が若かった頃クオリティペーパーを自他ともに認めていた朝日の最近の凋落ぶりには、確かに目を覆わんばかりのものがある。だが、一人の老人に媚び諂っている最大新聞社の偏向報道には、戦前戦中の反省など微塵も感じられない。69年目の8月15日の報道も、他紙とは全然違っていた。総理が第1次政権時の式辞で述べた憲法順守と不戦の誓いの文言は、今回見事に消え去っていたが、かの新聞だけは当然そんなことには触れもしていない。国民に考えさせる材料を与えるのを避けているかのように。これが日本一の報道機関なのである。日本の報道はこれでいいのだろうか? 問題は一新聞社だけのことにはとどまらない。テレビとて、その新聞社系の局が視聴率的に独り勝ち状態である。右も左もわからない赤子のような若者たちや疑うことを知らない素直すぎる国民の多いこの国にとって、報道の信頼度が問われる時代が来ている。憲法が権力を縛る絶対的存在として必要であるのと同様に、マスコミには時の為政者や黒幕を監視し、真実を明らかにする責務があるはずだ。騙されてはいけないのだと我々自身も自覚する必要があると思う。

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